第1話 私と九条櫻子の関係、庭のリフォーム
私(千代田薔子-しょうこ)は九条櫻子の親戚である。叔祖父、画家の藤堂龍生の元アトリエをリフォームする。
母は祖父を憎んでいて、若くして逝った。
私は庭を「竜胆庵」と名付け、知り合いの高校教師の磯崎に庭の手入れをお願いする。磯崎は花を知悉し、耽溺している。私は磯崎に好印象を持っており、親戚の九条櫻子の唯一無二が大好きだった。
あるとき、近くに住む白河老人が家を訪ねてきた。
いろいろな女が、この家をウロウロしているのを見かけ、迷惑してしているという。
第2話 防犯カメラ設置、謎の来客者
入口に防犯カメラを設置する。カメラに数日おきに知らない様々な女が、映っていた。
1人の女が偶然、訪ねて来たので事情を聞く。ラ・ヴォワザン夫人のサロンを探しているというので、詳しく話を聞くことにする。
第3話 ラ・ヴォワザン夫人の謎、媚薬
訪ねてきた女性は美濃辺(みのべ)と名乗る。マダム・ヴォワザンはSNS上で「魔女」を名乗っていて、惚れ薬の媚薬を作ってくれるということで話題になっていた。
磯崎はフランスの歴史に詳しく、ヴォワザンについて語る。
・ラ・ヴォワザンことカトリーヌ・モンヴォワザンは宝石商の妻であり、上流階級で毒薬・媚薬・堕胎薬を作って夜会を繰り返していた。
・ヴェルサイユを揺るがす事件が起きる。顧客のモンステパン侯爵夫人はルイ14世の愛妾で、ヴォワザンの毒薬でライバルを毒殺していた。別の顧客のブランヴィリエ侯爵夫人逮捕がきっかけで、事件が明るみになる。
モンステパン侯爵夫人は王に捨てられ、修道院で孤独に亡くなった。
第4話 媚薬と白紙のカード
美濃辺さんが夫人のサロンに行き、竜胆庵に戻ってくる。夫人から「フェルゼンから」という媚薬と白紙のカードを私たちに届けてくれる。
白紙のカードを火で炙ると「一週間後あらためて、お詫びしたい」とのこと。媚薬のラベルを見ると「カンタリス」「マンドレーク」と記載してあった。マンドレークは物語に登場する人形の人参のようなもの。
磯崎は大変を興味を持ち、私とヴォワザンのサロンへ行くことにする。
第5話 ラ・ヴォワザン夫人のサロン、マンドレークの鉢
夫人のサロンは意外に普通の住宅だった。庭を一望できるコンサバトリーに通してもらう。夫人は私と同じ歳くらいで、若々しく美しく、妖艶であった。
夫人の名は近成佑花という。
助手の小菊という女性がマンドレークの鉢を見せてくれ、実を一粒くれる(一粒から種が、20~30個ほど取れるという)花好きの磯崎は大変喜ぶ。
磯崎は、私に内緒で私の庭をマリーアントワネットの里庭をモチーフにしていた。磯崎はマリーアントワネットが大好きであった。